オール電化の電気代は高い?平均と「やばい」と言われる理由・節約のしくみ
更新日:
オール電化の電気代は「高い」「やばい」と語られがちですが、その多くは電気代だけを見たときの印象です。オール電化はガス代がかからないぶん、光熱費の合計で考える必要があります。この記事では、環境省の調査でオール電化世帯が実際にどれだけ電気を使っているかを確かめたうえで、高くなる本当の理由と、夜間割安プランの活用法までを整理しました。数値は出典を明示しています。
この記事のまとめ
- 金額の公的な平均統計はないが、使用量なら公的データがある。条件をそろえるとガス併用の1.79〜1.94倍(環境省・令和5年度)
- 季節の振れ幅がまるで違う。オール電化は6月389kWh→1月919kWhと530kWh動き、ガス併用(136kWh)の3.9倍
- 資源エネルギー庁の示す事例では1kWhあたりの料金はオール電化が割安とされる(契約プラン・時間帯により異なる)一方、給湯・暖房も電気なので電力量は多い
- 「やばい」の主因は、昼間の割高料金・冬の暖房・燃料費調整に上限のないプランが多いこと
- 高額世帯の内訳例では、約7割が暖房、約2割が給湯(資源エネルギー庁)
- 節約の基本は、安い夜間時間帯に給湯・家事を寄せること
オール電化の電気代の特徴
オール電化は、給湯・調理・暖房をすべて電気でまかなう住宅です。ガスを使わないためガス代はかかりませんが、その分だけ電気の使用量は増えます。資源エネルギー庁の示す事例では、オール電化住宅は非電化住宅より使用電力量が多くなる一方、1kWhあたりの料金で見ると割安だと説明されています(出典: 資源エネルギー庁 オール電化住宅の電気代を考える、2026-06-06 取得)。実際の有利・不利は契約プランや使う時間帯によって変わります。
ポイントは、電気代だけを見て高い・安いを判断しないことです。ガス併用の家庭は「電気代+ガス代」、オール電化は「電気代のみ」。比べるなら、光熱費の合計で見るのが正確です。
平均はいくら?(考え方)
金額の平均を、オール電化住宅だけで集計した公的な統計はありません。世帯人数・地域・断熱性能・生活時間帯で大きく変わるためです。民間調査の数字は出回っていますが、前提がばらばらなので鵜呑みにはできません。
ただし使用量(kWh)なら、公的な調査で確かめられます。環境省が全国の世帯を対象に行っている調査には、家庭で使っているエネルギーの種類別の集計があり、「電気のみを使用」がオール電化にあたります。ガスを併用している世帯と並べると、電気の使う量にどれだけ差があるかが分かります。
オール電化は、ガス併用の何倍の電気を使うか
| 条件 | 電気のみ(オール電化) | 電気+都市ガス | 差 | 倍率 |
|---|---|---|---|---|
| 全国(すべての世帯) | 579kWh | 269kWh | 310kWh | 2.15倍 |
| 一戸建て | 614kWh | 343kWh | 271kWh | 1.79倍 |
| 集合住宅 | 411kWh | 230kWh | 181kWh | 1.79倍 |
| 単身 | 351kWh | 181kWh | 170kWh | 1.94倍 |
| 夫婦のみ | 557kWh | 293kWh | 264kWh | 1.90倍 |
| 夫婦と子 | 655kWh | 366kWh | 289kWh | 1.79倍 |
環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」令和5年度(全国)(e-Stat 表番号 0004029148、2026-08-31 取得)。年間のエネルギー消費量(GJ)を 1kWh=3.6MJ で換算し12で割った1か月あたりの値です。金額ではなく使用量なので、オール電化とガス併用の差の大きさを見る数字として扱ってください。
建て方や世帯の形をそろえて比べると、オール電化の電気使用量はガス併用の1.79〜1.94倍に収まります。給湯・調理・暖房のぶんが電気に乗るので、増えること自体は避けられません。
いっぽう、条件をそろえずに全国の平均どうしを並べると2.15倍になります。差が大きく出る大きな理由は、オール電化の住宅が一戸建てに偏っていることです。
同じ調査の世帯数を見ると、オール電化世帯の83%が一戸建て(10,840世帯のうち9,013世帯)。都市ガスを併用する世帯で一戸建ては35%にとどまり、残りは集合住宅です(環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」令和5年度(全国)の世帯数分布)。一戸建てはもともと電気を多く使うので、条件をそろえずに並べると、その分まで「オール電化だから」に見えてしまいます。「オール電化は◯倍」という数字を見たときは、何と何を比べた数字かを確かめてください。
増えるぶんを、いくらで買えるかが分かれ目
夫婦のみの世帯で見ると、オール電化はガス併用より月264kWh多く電気を使っています。この264kWhを、東京電力エナジーパートナーの従量電灯Bで月300kWhを超えたあとの追加分として買うと仮定すると(単価40.49円/kWh)、月およそ10,689円。いっぽうオール電化で浮くガス代は、家計調査の2人世帯で月4,663円です。
つまり東京電力エリアでふつうの従量電灯のまま使うと、浮くガス代よりも増える電気代のほうが大きくなります。オール電化が成り立つのは、増えるぶんを割安な時間帯の単価で買えるからです。資源エネルギー庁も、オール電化住宅は使用電力量が多くなる一方で1kWhあたりの料金は割安になると説明しています。
裏を返すと、オール電化なのに時間帯別のプランを使っていない、または昼間に給湯や調理が寄っている家では、この前提が崩れます。「オール電化なのに高い」の多くはここが原因です。プランのしくみは夜間割安プランのしくみで詳しく見ます。
増えるぶんの試算は東京電力エナジーパートナー 従量電灯Bの300kWh超の単価による当サイトの計算です(単価の取得日 2026-06-11)。燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金は含みません。ガス代は総務省 家計調査(令和7年・2025年平均)の2人世帯の値です。
自分の家を確かめる順番
まず電気代の平均で一般世帯の水準を確認し、ガス代がかからないぶんを加味して見てください。参考として、資源エネルギー庁は平均的な家庭の消費電力量を月およそ400kWhとしています(上の表とは集計の対象も年次も違うため、そのまま並べることはできません)。オール電化はこれに給湯・暖房・調理のぶんが上乗せされる構造です。一人暮らしでオール電化の場合はオール電化の一人暮らしの電気代で詳しく解説しています。
平均的な家庭の消費電力量(約400kWh/月)の出典: 資源エネルギー庁 オール電化住宅の電気代を考える、2026-06-06 取得。一般世帯の電気代・ガス代は総務省 家計調査を参照。
「やばい」と言われる理由
オール電化の電気代が高く感じられるのには、はっきりした理由があります。
- 給湯・暖房も電気でまかなうため、使用電力量そのものが多くなる
- 日中に在宅すると、割高に設定された昼間の時間帯料金がかさむ
- オール電化向けプランの多くは自由料金で、燃料費調整に上限がない
- 冬は暖房の電力量が増え、年間でもっとも高くなりやすい
とくに見落とされがちなのが、燃料費調整の上限です。燃料費調整は火力発電の燃料価格の変動を電気料金に反映するしくみで、規制料金には上限が設けられています(資源エネルギー庁)。一方、自由料金は上限設定の義務がなく、上限のないものが多いため、オール電化向けの自由料金プランでは燃料価格の高騰が料金に反映されやすくなります。
なお、資源エネルギー庁が示す月10万円超の高額ケースでは、消費電力量が3,000〜5,000kWhにのぼり、その内訳の一例は約7割が暖房(蓄熱暖房機)、約2割が給湯でした。暖房と給湯の使い方が、電気代を大きく左右することが分かります。
季節・世帯による違い
オール電化の電気代は、季節と世帯人数で大きく動きます。とくに冬は暖房と給湯(外気が冷たいほどお湯を沸かす電力が増える)で跳ね上がりやすく、夏や春秋との差が大きく出ます。
振れ幅そのものが、ガス併用の家とは違う
同じ調査で月ごとの電気使用量を見ると、オール電化世帯はいちばん少ない6月の389kWhから、いちばん多い1月の919kWhまで動きます。差は530kWhです。
ガスを併用している世帯は、同じ1年で197kWh〜333kWhの136kWhの幅にとどまります。季節による動き方が、3.9倍ちがうということです。暖房と給湯を電気でまかなう構造が、冬にそのまま出てきます。
環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」令和5年度(全国)(e-Stat 表番号 0004029141、2026-08-31 取得)。2023年4月〜2024年3月の各月の平均を、1kWh=3.6MJ で換算した値です。
だからオール電化では、冬の1か月だけを取り出して平均と比べても判断できません。年間を通した合計で見るか、去年の同じ月と比べるのが確実です。
世帯と生活時間帯による違い
| 条件 | 電気代への影響 |
|---|---|
| 冬 | 暖房・給湯の電力量が増え、年間で最も高くなりやすい |
| 夏 | 冷房ぶんは増えるが、冬ほどの伸びにはなりにくい |
| 世帯人数が多い | 給湯・調理の回数が増え、電力量が上乗せされる |
| 日中在宅が多い | 割高な昼間料金の時間に使う量が増える |
「冬だけ急に高い」と感じるのは、オール電化では自然なことです。年間の平均でならして考えると、印象ほど高くないこともあるでしょう。
夜間割安プランのしくみ
オール電化向けプランは、夜間の電気代が昼間より割安に設定された時間帯別料金が基本です。エコキュートのように夜間にお湯を沸かしてためる機器と相性がよく、夜のうちに給湯や家事を済ませるほど料金を抑えられます。
時間帯の区切りや単価は会社・プランで異なります。たとえば東京電力エナジーパートナーの「スマートライフ」は、エコキュートなど夜間蓄熱式機器を使う家庭向けのオール電化プランです(出典: 東京電力エナジーパートナー スマートライフ、2026-06-06 取得)。乗り換えを検討するときは、夜間の時間帯と単価が自分の生活リズムに合うかを必ず確認してください。
向く人・向かない人
| 向いている家庭 | 不利になりやすい家庭 |
|---|---|
| 日中の在宅が少ない(共働き・外出が多い) | 日中ずっと在宅し、昼間に電気を多く使う |
| 夜間に給湯・家事を寄せられる | 夜間に電気を使いにくい生活リズム |
| 断熱性能が高く暖房効率がよい | 断熱が弱く冬の暖房がかさむ |
向き不向きは生活リズムで決まります。どちらが得かは家庭ごとに違うため、「オール電化だから損」と決めつける必要はありません。
いま住んでいる家で確かめる3つ
これから建てる家の話ではなく、すでにオール電化に住んでいて電気代が気になる場合は、次の3つを順に確かめてください。どれも検針票かマイページで分かります。
- 契約しているのが時間帯別のプランかどうか。ふつうの従量電灯のままだと、増えるぶんの電気を高い単価で買うことになります(前の章の試算どおり、浮くガス代では埋まりません)
- 安い時間帯に、実際に使えているか。エコキュートの沸き上げ時間がプランの割安な時間帯とずれていないか。日中に追い焚きや調理が寄っていないか
- 冬の1か月の使用量。オール電化では1月に919kWh級まで伸びるのが平均的な姿です。極端に外れていなければ、使い方の問題ではなく季節の問題です
3つとも問題がないのに高いと感じるなら、残るのは単価そのものです。契約中のプランの単価と、他社のオール電化向けプランを並べて比べることになります。
電気代を抑えるコツ
オール電化の節約は、使う量を減らすことよりも「いつ使うか」を整えることが効きます。
- エコキュートの沸き上げ・食洗機・洗濯を、安い夜間時間帯に寄せる
- 昼間のピーク時間帯はなるべく大きな電力を使わない
- 断熱・厚手のカーテンなどで暖房の電力量を抑える
- 契約プランの時間帯区分が、今の生活に合っているか見直す
使い方を整えても高いと感じるなら、料金プランや電力会社の見直しが次の一手です。見直しの手順は電力会社の乗り換え方法、使い方全体の節約は電気代を安くする方法にまとめています。特定の会社をランキングで推すことはしません。
よくある質問
Q: オール電化はガス併用の何倍くらい電気を使う?
A: 環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(令和5年度・全国)で、家庭で使っているエネルギー種別に電気の消費量を見ると、電気のみを使う世帯(オール電化)は電気と都市ガスを使う世帯の約1.8〜1.9倍でした(一戸建て614kWh対343kWh、集合住宅411kWh対230kWh、いずれも月あたり)。ただしオール電化は給湯・調理・暖房も電気でまかなうので、電気代だけを比べると必ず高く出ます。判断するときはガス代を含めた光熱費の合計で見てください。
Q: オール電化の電気代の平均はいくら?
A: 金額の平均をオール電化住宅だけで集計した公的な統計はありません。世帯人数・地域・季節で大きく変わるためです。ただし使用量なら公的データがあり、環境省の調査では電気のみを使う世帯の電気消費量はガス併用世帯の約1.8〜1.9倍でした(令和5年度・条件をそろえた比較)。オール電化は給湯・調理・暖房も電気でまかなうぶん電力量が上乗せされますが、ガス代がかからないので、電気代単体ではなく光熱費の合計で比べるのが正確でしょう。
Q: オール電化はなぜ「やばい」と言われる?
A: 理由は主に3つあります。給湯や暖房も電気でまかなうため使用電力量が多くなること、日中に在宅すると割高な昼間料金がかさむこと、そしてオール電化向けプランの多くが自由料金で、燃料費調整に上限のないものが多いこと。規制料金には上限がありますが、自由料金は上限設定の義務がないため、燃料価格が高騰すると料金に反映されやすくなります。とくに冬は暖房で電力量が増え、高く感じやすい時期でしょう。
Q: オール電化と電気・ガス併用、どちらが安い?
A: 一概には言えません。電気代だけを比べるとオール電化のほうが高く見えますが、オール電化はガス代がかからないため、光熱費の合計と生活時間帯で考える必要があります。夜間に給湯や家事を寄せられる家庭、日中の在宅が少ない家庭はオール電化が有利になりやすい一方、日中ずっと在宅する家庭は割高な昼間料金が増えがち。資源エネルギー庁の示す事例では、1kWhあたりの料金で見るとオール電化が割安とされますが、実際の有利・不利は契約プランや使う時間帯により異なります。
Q: オール電化の電気代を抑えるには?
A: 基本は「安い時間帯に電気を寄せる」ことです。エコキュートの沸き上げや食洗機・洗濯を夜間料金の時間帯に動かすと、同じ使用量でも料金を抑えられます。あわせて、住まいの断熱を高めて暖房の電力量を減らす、契約している料金プランが今の生活に合っているか見直すことも効果的でしょう。時間帯の区切りや単価は会社ごとに違う点にも注意。
Q: オール電化でも電力会社は選べる?
A: 選べます。電力小売全面自由化により、オール電化住宅でも電力会社や料金プランを自由に選べます。ただし、すべての会社がオール電化向けの時間帯別プランを用意しているわけではありません。乗り換えを考えるときは、オール電化に対応したプランがあるか、夜間の単価や時間帯の区切りが自分の生活に合うかを確認してください。
関連ページ
電気代を比較して選ぶ